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side.槙



「……なにぼーっとしてんだよ」
「っわあ!」



耳元で突然話しかけられて、吃驚した。

放課後の、生徒玄関前。
茜色の中、グラウンドではサッカー部が元気に走りまわっていた。

いつもの、待ち合わせの光景。



「遅かったね」
「担任に捕まった」



僕を追い抜いて、彼は歩いて行ってしまう。
和志くん、隣のクラスの、僕の、恋人。

背が高くて、クールで、一匹狼みたいに、いつも一人でも堂々としてて。
僕の憧れだった。

僕から告白したのが、一ヶ月くらい前。
それから、一緒に帰ってる。



「ん」
「………?」



前を歩いてた和志くんが、すっと手を伸ばしてきた。
なんだろう、と首を傾げると、小さな溜め息。



「わ、わっ」



手、繋がれた。

和志くんはこっちを見ない。
少しだけ緩んだ歩幅。
口数は少なくても、和志くんのこういうところ、大好き。



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