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side.譲
「や、あのっ……違う、くて」
「………」
雨宮がわたわたと話し始めた。
同じクラスで隣人の榊が、風邪をひいてしまったこと。
心配で泊まっていったこと。
それだけなら、いい。
気遣いが出来るやつだから、心配だったのもわかる。
でも、よりによって榊。
「何もされてないだろうな?」
「なにっ、何を」
ほら、わかってない。
俺も言ったりしないけど。
榊は、雨宮のことが多分好きだ。
授業中、ぼんやり見てることが多い。
「な、僕はただ、看病にっ」
「まさか一緒に寝たわけないよな?」
「ちがっ……僕はソファで、」
「………どっちが先に起きた?」
「え……榊、くん」
ばっちり寝顔、見られてんじゃねぇか。
そして、はっと気付く。
「あ、の、野郎っ……」
「っえ、ひゃぁっ」
ちらりと、髪に隠れた首筋。
赤い、跡があった。
寝ているときにでもされたのだろう。
雨宮を疑う気はさらさらない。
嘘をつけないやつだから。
「やっ、せんせ……っ」
「鈍感なんだよ、跡つけられてる」
「えっ!?」
悔しくて、腹が立って。
赤い印のうえに、俺のを重ねる。
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