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side.主人
抱き抱えて、部屋に戻った。
未だに千夏は震えていた。
小さく、「ごめんなさい」と呟きながら。
上着を剥ぐと、細い身体が見える。
こびりついてるのは、どちらのものとも分からない精液。
植え込みの土と、俺がつけた、紅い華。
膝の擦り傷と、赤紫の足首と。
白い身体が、何色にも染まって。
綺麗だなと、思ってしまった。
「ごめ、なさ、っ……」
失いたくないなと、思った。
「ひ、」
抱き締めると、びくっと震えた。
怯えないでほしい。
そんな願いは、すぐに叶うことはない。
わかっていたはずなのに。
「大丈夫だから」
初めて、守りたいと思った。
だから、ずっと、ここにいて。
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