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きちんと薬を飲んで、一緒にベッドに入ったところ。
「そういえば、なんでお薬飲みたくなかったの?苦い?」
……しんでしまいたいから、とか。
思ってるんじゃないかと不安になった。
けれど返ってきた答えは、意外なもので。
「あ、あのね、わがまま、なの」
「ん?何が我が儘?」
「……おくすり、のんだら、」
きゅ、と俺の胸元に顔を寄せる。
「眠たくなって……ゆじと、一緒にいるじかん、短くなる……」
「え」
ゆっくり、千夏が言葉を紡ぐ。
「ゆじと、もっと、おしゃべりしたい……ぎゅって、したい……」
「………」
「……わがまま、」
そんな。
可愛い我が儘。
「俺も、ちなとずっと一緒にいたい。ぎゅーってしてたい」
「……ほんと……?」
「ほんと。でも、ちゃんとお薬飲んで、ゆっくり休んで。ちなが体調悪くなったら、一緒にいられなくなっちゃう」
華奢な背中をそっと撫でた。
「朝起きたら俺が一番に、おはようって言うから」
「………ん」
「明日になったら、またぎゅってするから」
「………」
すぅ、と千夏の寝息が聞こえた。
無防備な寝顔に一つキスをして、俺も目を瞑った。
また明日、その笑顔をみるために。
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