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元々体力のない千夏は、ゆっくり身体を休める必要がある。
なのに、千夏はいいという。
なんでそんなこと言うんだろう。
こんなに。
こんなに、心配なのに。
「ちな」
「…………」
少しだけ声を固めると、千夏は伺うように伏せていた目を合わせてきた。
「なんでそんな我が儘言うの」
「っ」
少しだけ千夏は怯んだけれど、相変わらずクッションを抱き締めたまま、もごもごと口を開く。
「わがまま……いって、いいって、ゆった……」
「なんでもかんでも我が儘言っていいわけじゃないんだよ」
いらつく。
口答えされたことに。
度が過ぎたわがままに。
千夏のためなのに。
千夏が大切なのに。
わかってくれない。
「……じゃあいいよ」
我が儘させるだけ、させればいい。
薬とコップを置いて、立ち上がった。
「……どこ、いくの……?」
「シャワー浴びてくる。薬飲まなくていいから、先に寝てて」
一度も後ろを振り向かずに、バスルームに向かった。
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