3
その日の夜、いつもの寮から少し離れたところで待ち合わせした。
「こ、こんばんは」
「ん。寒くねぇ?」
先生の車に乗り込んだら、手をきゅっと握られた。
「やっぱ冷えてんな。ごめんな、早く家行こ」
「あ、は、はい」
ぽん、と頭を撫でられて、車が動き出した。
暖めていてくれたのか、部屋の中はぽかぽかした。
やっと明るい光の中で先生の顔が見えた。
まだ玄関なのに、先生は何度もキスをしてくれた。
「ん、んっ……」
頭がぼんやりしてきて、先生が僕を抱き上げてソファに座らせた。
そのまま、ぎゅうって抱き締められた。
「雨宮ぁ」
「せん、せ」
ちょっとだけ、先生の声が甘えてる。
会いたかった、と小さい声。
僕も抱き返したとき、
「………ん?」
先生がぱっと身体を離した。
何だろう、と思っていると、またぎゅうってされる。
「………違う匂いがする」
「え……」
「シャンプー変えた?……や、香水の匂いもするな」
なんでそんなことわかるの!と思いながら、一つ心当たり。
榊くんの家にいたからな。
「あ、昨日、シャワー借りて」
「え?」
「同じクラスの、榊くん、に……」
先生の顔が段々怖くなってきた。
あ、と僕も気付く。
誤解、されちゃった、かも。
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