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「ゃ、いたいの、や」
俺のシャツにしがみついて、ふるふると首を振る。
「ん、痛いのもうないよ」
「やら、」
「怖かったね」
背中を撫でて、髪をすいて。
自分を守るための、幼児退行。
千夏は必死に、恐怖と闘ってる。
こどもって人との体温が近いと安心するんだっけ、と考えて、千夏を膝の上に乗せた。
もっと身体が近付いて、千夏は俺の肩に顔を埋める。
「俺はここにいるよ」
あやすように、少しゆらして。
髪や耳にキスをして。
「ん、ん……」
すり、と擦り寄ってきて。
そのままうとうとしている。
「ん、眠たい?」
「ぅ、」
「んー……今から寝たら夜眠れなくなるかなー」
何か飲み物でもと思って、ソファに千夏を下ろして立ち上がった。
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