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side.千夏
白い檻の中は、さむい。
「………」
気づかれないように、息をひそめて。
じっと、うずくまって。
それでも、見つかってしまう。
「っ……や、」
ぐい、と腕をひかれる。
いたい。
投げ出されたベッド。
視界をさえぎる影。
にたりと笑う顔。
(い、きが、)
息ができない。
どうやってするんだっけ。
声がでない。
でたって、誰もきてくれない。
「っ、……!」
肌が、あらわになる。
うつぶせに、シーツに押し付けられる。
こわい。
しってる。
このさきのこと。
(……こわ、い)
ぎり、と唇をかむ。
静かにシーツをつかんで、たえる。
息をとめて。
このまま、死んでしまえばいいのに。
荒い息使いがきこえて。
熱いなにかを感じて。
そっと、神様にねがう。
(はやく、)
ぼくを、ころして。
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