6
 

side.高城



夜中、藍二から電話があった。
会わなくなって少し経つけれど、そんな気まずさを吹き飛ばして、電話をとった。

泣きじゃくる、声。
咄嗟にバイクに飛び乗った。

家は送ったことがあるから知ってる。
未だ錯乱したような藍二からどうにか部屋番号を聞き出して、ノックをする。



「藍二っ」



すぐにドアがあいて、視界に暗闇をとらえた瞬間に、お腹に衝撃。



「ひ、ぅっ……や、っやだ、っ」



泣きじゃくる藍二が、俺にしがみついていて。

ひとまず部屋の中に押しやって、電気をつける。
小さな部屋は、生活感というものが全くなくて。
夜中なのに、親もいなくて。



「ごめ、なさい、やだ、いかないでっ……」



そうして藍二は、ぽつぽつと話始めた。

藍二が幼い頃に死んだ父親。
男にうつつを抜かして家を出た母親。
他人とうまく付き合えない、藍二。

小さな身体にたくさん、たくさん、背負って。
震える身体をひたすら抱き締めた。



置いていかれる恐怖は、骨の髄にまで染みていて。
俺に会うまで、俺が会わなかった間、藍二は一人で過ごしていたのだろうか。

その理由を知らなかったとはいえ、一人にして、怖がらせて、傷つけた。



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -