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side.藍二



校門の前に、バイクがない。
そんな日々も続いて。

ほっとしてるはずなのに。
安心できるはずなのに。

どうして、こんなに、哀しいんだろう。




―――「もう、明日から会わない」




「っ……!」



どくどく、と心臓が波打つのがわかる。
部屋の中が真っ暗で、自分が今まで寝ていたことに気づく。

去っていく背中。
一人きりの、世界。



―――「ごめんね」



お母さん、どこにいくの。
一人に、しないで。



―――「あいつ、親に捨てられたんだって」



一人に、しないで。



「い、や……」



ひとりぼっちの小さいマンション。
捨てられなかった、母親の物たち。
父親がいた頃の、古い家族写真。

みんな、僕を置いていく。



「や、やだ、やだぁっ……」



暗闇の中で必死に携帯電話を手繰り寄せた。

友達もいない僕の電話帳、すぐにその名前は出てくる。



ねぇ、お願い。
僕を一人にしないで。



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