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「……ま、みや……雨宮、」
「う……?」
「おはよ」
目を開けると、にっこり笑顔の榊くんがいて。
昨日、シャワーも借りて。
ソファで寝かせてもらったんだっけ……。
「ねっ、熱!体調っ」
「もう平気。熱もさがったよ」
ほら、と体温計を見せられて、ほっとした。
「ありがと、看病してくれて」
「よかった」
「そういえば、さっき携帯鳴ってたけど」
携帯?と思って鞄から取り出すと、先生からのメールだった。
今日泊まりにこないかって。
土曜日だし、僕は二つ返事で返した。
「もしかして用事あった?」
「ううん、大丈夫。これからだから」
「そっか」
榊くんも、ソファに座ってきた。
「雨宮、いいやつだなぁ」
「そ、そう?」
「ん。付き合ってる人とかいるの?」
榊くんって、こんな話する人なんだって妙なところでびっくりしてしまった。
名前聞かれないよね、と思いながら小さく頷いた。
「そうなんだ、羨ましい」
「そんな、」
「雨宮の恋人になれるのが、羨ましい」
そ、れは、どういう……?と戸惑っていたら、榊くんはやっぱりにっこり笑った。
「こんないい人と付き合えるなんて、相手も幸せものだなって」
「あ、あり、がと……」
先生、僕と付き合って、幸せなのかな。
迷惑かけてないかな。
先生のために、なにかできてるかな。
………早く、会いたいな。
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