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side.高城
「馬鹿じゃねぇの、俺……」
藍二に別れを告げたあと、帰宅して、そのまま玄関にずるずると座り込んだ。
ずっと、藍二のことを見てた。
近くのコンビニでよく会う中学生。
小さくて、色素が薄くて。
いつもココアやら、いちごみるくやら、甘ったるい飲み物を買って。
どんなこなんだろう。
なんて名前なんだろう。
どんな声してるんだろう。
ガキの恋じゃあるまいし、けれど24の俺は、確実に藍二に心を奪われてしまっていた。
そこらじゃ喧嘩の強さで名の知れた俺が。
その細っこいガキに。
ぶつかったのは、偶然。
イラっときて胸ぐら掴み上げて、ようやく藍二だと気づいた。
言葉が出なかった。
溢れたのはただ一つ。
付き合ってほしいと。
藍二はOKしてくれた。
素直に嬉しかった。
でも数日後に気づいた。
藍二は俺のことが好きなわけではなく。
俺が怖くて断りきれなかったのだと。
「はは……」
腕のなかにある、藍二の感触。
まだ残ってて、心が疼く。
「っ……すきだ……」
ガキみてぇ、俺。
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