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side.恭平
「何か着せれば良かったな、」
裸で布団にくるまっただけの満月を見て、昨夜の自分に叱咤する。
「風邪ひくから何か、っ」
着るものを、と立ち上がろうとするけれど、満月の手が離れない。
「……もうどこも行かないよ」
「や、」
「………」
「このまま、のが、」
あったかい、と擦り寄ってくる。
仕方ないとそのまま満月を抱き上げて、ベッドに下ろす。
一緒に寝転んで、何度も何度も、キスをした。
「どこも、いかな、で……っ」
突然やってくる、満月の漠然とした不安。
拭ってやれない自分が腹立たしい。
けれどやることは、決まっている。
怖い夢を見たときも。
不安に襲われたときも。
泣きたくなったときも。
俺が出来るのはただ、そばにいてやることだけ。
「どこもいかない」
「ほ、ほんと、」
「ほんと」
「うそじゃ、ない?」
「嘘じゃない」
「……っ、すき」
「うん、俺も、好き」
手の中の体温は、いつだって愛しい。
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