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side.恭平
なんとなく洋食の気分で、パンやら野菜やら買い込んだ。
かさかさと袋を鳴らして帰宅する。
「ただい、」
あ、寝てるんだっけ、と慌てて口をつぐんだ。
リビングに入ると、出てきたまま、カーテンが日光を遮って少し薄暗くて。
「………っ!」
ソファに隠れて見えなかった。
布団を頭から被った満月が、フローリングに踞っていた。
膝に顔を埋めて、その表情は見えない。
いや、違う。
膝の上、満月が顔を埋めているもの。
俺の着ていたシャツ。
「満月、」
声をかけると、びくっ、と肩が震えた。
ゆっくり顔があがって、満月の顔が見える。
放心したような顔で、泣いていた。
「っ」
袋を置いて、慌てて駆け寄る。
驚かさないように気を付けたけれど、肩に触れるとやはり満月はびくりと震えて。
ぼんやりとした目は俺を移してなくて。
小さな肩。
こんなに、冷たくなって。
「っ……や、」
冷えた身体を温めるように抱き締めると、わずかに身動ぎして満月は抵抗した。
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