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side.恭平



「………」



ちゅんちゅん、と鳥の鳴く声がした。
朝か、とカーテンの向こうが明るいのを見て思う。

鎖骨辺りにかかる吐息。
しっとりと汗ばんだ満月の肌に、昨夜付けたばかりの所有印が見えた。



「………」



深く眠る満月にしっかりと布団をかけて、ベッドから出た。
裸の上半身が空気に触れて、少しひやりとした。

学校がないからいいものの、もうすぐ昼という時間だ。
朝ごはん兼昼ごはんを作ってから、満月を起こそうと考える。

あんなにぐっすり眠っているのだから、なるべく寝かせてあげたい。
昨夜は疲れただろうし。



「……あ、」



開けた冷蔵庫の中は、目ぼしい食材はなく。
明日は休みだからその時に、と昨日買い物に行くのをやめておいたんだっけか。

仕方がない。
簡単に着替えて、身支度を整えて、部屋の鍵を取った。



「……ん……」



寝室を覗くと、相変わらず眠り続ける満月の姿。
最寄のスーパーまではすぐだ。
買うものも大体決まっている。

起きないように、そっと、ドアを閉めた。



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