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side.満月
病院に行く暇もないほど、忙しかった。
当然のように、薬は切れて。
なんとなく、言えなかった。
薬に頼りすぎな自分が、嫌だった。
でも、眠れない。
「……なんで、言わなかった」
恭平が少し怒ってるのがわかる。
「だって……」
「だってじゃないだろ」
「っ……ごめん、なさい……」
「……馬鹿、泣かなくていい」
恭平はあやすように、俺を抱き締めて、背中を撫でてくれた。
「言ったろ、何でも言えって。俺に頼れって。一緒に住むようになったんだし」
「………」
「申し訳ないとか思わなくていい、責めるようになったのは謝る。ただ、無理してほしくないから」
ちゅ、と瞼にキスが落ちる。
「苦しかったな。気付いてやれなくてごめんな」
それだけで、許されたような気がして。
大きく息を吸い込んだ。
恭平の匂い。
目を閉じる。
首筋に感じる恭平の吐息。
温かくて。
優しくて。
気づいたときには、背中に柔らかい感覚。
頭をそっと撫でられる。
暗闇に落ちる前に、見えた恭平の顔。
「おやすみ」
足りないものは、いつだって、
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