3
 

side.恭平



思わず、満月を抱き込んだ。
満月は暴れたまま、俺の背中や肩を叩いてくるけれど、気にしない。



「や、いや、」
「大丈夫だから」
「やー……っ」



呂律の回らない、子どものようなそれ。
ぽんぽん、と背中を叩くと、暴れていた腕からくたりと力が抜けた。



「……ん、いいこ、」
「っ……きょ、へ」
「うん」



ぽろぽろと泣き出した満月の頬を支えて、啄むようにキスをする。



「大丈夫?怪我、してない?」
「ない……」
「ん、良かった」
「……ご、め、なさ、コップ、」
「いーよ、また買えばいいんだから」



そんなことより、大切なものは。



「眠れなかった?」
「……ん……」
「薬は?」
「………」
「満月?」
「………い、」
「え?」



満月の身体がきゅ、と固くなるのがわかった。



「な、い………」



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