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side.恭平
そんな状態で、まともに過ごせていけるわけもなくて。
「……!」
がしゃん、と何かが落ちる音で目を覚ました。
まだ深夜と呼べる時間。
やっぱり隣に、満月はいなかった。
「満月、」
リビングに出て明かりをつけると、満月がフローリングにぺたりと座り込んでいた。
目の前には、割れたマグカップ。
踞って腕で顔を隠す満月に、そっと近づいた。
「満月、怪我、」
してないか、と言葉を続けようとしたとき。
どん、と身体を押された。
「っ!」
「ぅ、うー……っ」
ばた、と暴れだす。
割れたマグの破片に触れたら危ないと、咄嗟に両手首を掴んだ。
「満月、落ち着け」
「や、」
びっ、と満月が払った手が、俺の頬に当たった。
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