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side.葵



「っ、馬鹿かお前は……!」



殴られる、と思って目をぎゅっと瞑った。
けれどその衝撃はなく、恐る恐る目をあける。

なんて顔、してるんだろう。
怒ってるような、悲しそうな。



「んなこと、しなくていい……」



ふわ、と朝倉さんの匂いがした。
僕に覆い被さるようにして、首もとに顔が埋められる。

まるで、抱き締められてる、みたいた。



「で、でも、僕、こんな高いもの、」
「……それは虫除けだっつったろ」
「でも、っ」
「見返りを求めてるわけじゃない、そんな死にそうな面見るために渡したわけじゃない」



言葉が、返せない。
でも、と心のなかで呟く。

……そうだよね。
僕からのなんて、いらないよね。



「ごめん、なさい……」
「……何で謝る」
「だって、」
「……今度の日曜、空けとけ」



突然の流れにびっくりする。



「え?」
「それでいい」
「それでって……プレゼント、」
「……一日、お前の時間をくれたら、それでいい」



珍しく、朝倉さんが少しだけ笑うから。

僕にできること。
朝倉さんが望むこと。



「………はい」



晴れるといいな。



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