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side.朝倉
がたん!と背後で音がした。
「!」
振り向くと、葵が靴も脱がないまま倒れていて。
咄嗟に駆け寄って抱き起こすと、微かに目があいた。
「あ……さく、ら、さ……」
「黙ってろ」
顔色が悪い。
持ち上げた身体は、俺が知ってるそれより随分軽くなっていた。
おかしいとは思っていた。
目に見えて痩せたのはわかるし、顔に疲れも出ていた。
それでも、俺の知らないところに行ってしまうと考えると、冷えるようで。
行為に及ばなくても、呼び出した。
行為をしても、軽い前戯ばかり。
「ごめ、なさい……」
ベッドに下ろすと少しは意識がはっきりしたのか、葵がぽつりと呟いた。
「その、今日、は、」
「……んな状態で欲情するわけないだろ」
……こんな言葉しか言えない。
「……俺の」
「え」
「俺の、せいか」
問い掛けると、葵はがばっと身体を起こした。
けれど目眩がするのか、そのままベッドに伏せてしまう。
「馬鹿、大人しくしてろ」
一つ髪をすいて、座っていたベッドから腰をあげる。
タオルを水で冷やして、小さな額に当てた。
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