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side.朝倉



葵の身体を綺麗にして、服を着せた。
微熱を知らせた体温計を置いて、ばたばたと準備をする。



「ふ、ぅ……」



額に冷えぴたを貼ってやると、少しだけ表情が和らいだ。

最近、大学の方が忙しそうだった。
無理を、していたのかもしれない。

気づかなかった。
いや、気づくつもりもなかった。



「……ごめん、な………」



そんな状態の葵を、無理矢理抱いた。
何度も頭を撫でて、顔色を伺う。



「……あ、さくら、さ……?」
「……気がついたか」



ぱっと手を離す。
身体を起こそうとするので、肩をつかんでベッドに沈めさせる。



「熱がある。少し休め」
「か、かえり、ます」
「そんな状態でか」
「めいわく、かけられません、」



熱のせいか、少し舌っ足らずな声。
抱き締めたい衝動を抑えて、そっと、額を撫でた。



「……?」
「………悪かった」
「え……?」
「無理、させた」



きょとん、としている葵を怯えさせないように、少しだけ、抱き締めた。
ふわりと、葵の匂いがした。



「……せめて、看病くらいさせろ」



やっぱり、苦しそうな姿は、見たくないから。



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