4
side.朝倉
「葵……?」
ばたばたと、寝室から出ていく姿。
キッチンから出て、その姿を追った。
「けほっ……う、ぇ、っ……」
トイレに突っ伏して、吐いていた。
抱かれた、裸のまま。
俺は慌てて、大きなタオルを背中にかけてやる。
「だい、じょうぶか」
真っ青な顔をした葵は、返事をしなかった。
ひとしきり吐いて、力が入らないのか、壁に身体を預けたまま。
口を濯がせて、抱えあげた。
冷や汗をかいている葵は目をぎゅっと瞑ったまま、浅い息を繰り返している。
ベッドにおろして、思い至る。
体調が悪い、と。
葵は確かに言っていた。
俺は気にしなかった。
頭に血が昇っていた。
数日前に見た、葵が他の男と喋っている姿が、頭から離れなかった。
体調が悪いと言われた瞬間、やっぱり、と思った。
他の男が、出来たのだと。
許さない。
俺のものだ。
どこにも、行かせない。
それだけが頭の中でぐるぐるまわって、気にせずに抱いた。
「っ……は、ぁ」
苦しそうに、葵が呻く。
少し、熱があるのかもしれない。
真っ白な身体に、咲かせた赤い花。
白濁がこびりついた、華奢な身体。
吐いてしまうまで苦しんだ、葵の顔。
俺は、なんてことを、
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