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side.和志
「な、んで、んなこと」
嫌いになるなんて。
「だっ……和志、くん、前より、僕のこと嫌いみたい……っ」
「っ、え」
「ぎゅって、して、くれないもん……」
そう言って、槙はわんわん泣いた。
確かに、前より一緒に過ごすことが少なくなった。
遊びに行くことも、減った気がする。
でもそれは、嫌いになったからなんかじゃない。
好きだから。
好きすぎて、槙をどうにかしてしまいたいと思う自分が、確かにいるから。
好きな槙を、大切に、したかった。
不安にさせてしまった?
「っ……ほら、」
何も言わない俺に、槙が口を開く。
「僕のこと、きらい、なんだっ……」
たまらなくなって、小さな身体を抱き締めた。
びくっ、と身体を固まらせた後、少しだけ力が緩んだ。
「違う、槙、違う」
「なにが、違う……っ」
「俺、槙の事、好きだ」
「っ……」
さらさらな髪を、すくように撫でた。
この感覚も、久しぶりだ。
「好きだから、槙のこと、大切にしたかった」
「……?」
「情けねぇよな、」
自制できないなんて。
それで、不安にさせるなんて。
口数が少ない、自分の悪いとこだ。
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