1
 

side.槙



「槙、和志待ち?」
「あ、うん……」
「早く来るといいねぇー。……っわ!」



放課後、教室で友達の和泉くんと一緒にいた。
僕は、和志くんを待ってて、和泉くんは、



「お待たせー!和泉ー!」
「っちょ、透!いきなり抱きついてくんなっ!」



透くんが、和泉くんの後ろから抱きついてきた。
透くんと和泉くんは、付き合ってる。



「かーえろっ」
「もう、離れろって……じゃ、槙、また明日ね!」
「ばいばい、槙ー!」
「うん、またね」



透くんが、和泉くんの手を引きながら、二人は教室を出ていった。
廊下で喋る二人の声が、まだ聞こえてくる。



(……仲、いいなぁ)



ぼんやりそんなことを考えてると、また教室のドアが開いた。



「……和志くん」
「悪い、遅くなった」
「ううん、大丈夫」
「帰るぞ」



そう言って、背を向けてしまう。
学校だからか、手を繋いでもくれない。

周りに誰もいないのに?



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -