3
side.朝倉
弱々しい葵に、内心は動揺していてどうしていいかわからない。
「ふ、ぅ……っえ、」
「!」
泣き出してしまった。
「ど、うした」
「っく、ぅ、」
「過呼吸になって驚いたのか」
努めて優しく耳元で話すと、俯いたままの葵がぽつりと呟いた。
「こ、わ……っ」
かたかたと震える身体に、俺はそっと、腕を回した。
「……怖い夢でも見たか」
「っ、おもい、だした、」
「何を」
言うと、葵は離れるように腕を突っぱねてきた。
「や、やっ……」
「馬鹿、暴れるな」
「こわ、や、怖いっ……」
ばた、と暴れる葵を一旦離し、また抱き込んだ。
ひ、と息を飲む声が聞こえた。
「……俺が、怖いか」
「っ……」
もう葵は、暴れなかった。
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