4
 

side.葵



「朝倉さっ……お願い、あけて……っ」



朝倉さんの家に戻って、ドアを叩いた。
ゆっくり開いて、ぐい、と腕を引かれて部屋に入れられる。



「……近所迷惑だろーが」



朝倉さんはスタスタと部屋の中に入っていってしまう。
僕は慌ててそれを追いかけた。



「あ、あの、これっ……!」



リビングに行くと、朝倉さんはソファに座っていた。
震える手でポケットから―――指輪を、取り出した。



「わ、忘れてて、昨日っ……こんな、っ」
「普通忘れるか、自分の誕生日」
「ごめんなさい……」
「俺がどんな思いでなぁ、」
「こんな、高いのっ……もらえな、っ!」



朝倉さんに返そうとすると、そのまま腕を取られてソファに組み敷かれた。
手のなかの指輪を取られて、左手を上げられる。

薬指に、ぴったりはまる。



「……男避け」



人の玩具取られちゃたまらねぇからな、とにやりと笑われた。



「っ………」



そのまま耳にキスされる。
吐息がかかったまま、



「……おめでとう」



空耳かと思うくらいの、小さな声だった。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -