4
「……ん……」
温かくて、目が覚めた。
僕は布団にねかせられていて、清潔な匂いがした。
あれ、ここは、と身体を起こした瞬間に、横から抱き寄せられた。
とっさのことで、身体がびくっと固まった。
「南、よかった、南っ……」
誰?
ううん、知ってる。
この声。
「さは、ら、くん……?」
「ごめん、ごめんなっ……」
学校のとは違う、弱々しい声。
どうして、そんな声なの。
身体が震えてるの。
僕を、抱き締めるの。
「っはな、して」
怖い。
けれど佐原くんは、いやだ、と小さく答えてさらに腕の力を強くした。
いやだ、怖い、痛い、
「やっ、やー…っ!やだ、っはな、してぇっ」
「南っ」
「僕のこと嫌い、な、でしょっ……も、放っといて、関わら、なっ……で……!」
怖くて、涙がぼろぼろ流れた。
そんな僕の顔を見て佐原くんはぎょっとした表情をした。
おろおろしながら、指でそっと、涙を拭ってくれる。
その手は、いつもの乱暴なそれと、全然違っていて。
びっくりして、涙が止まった。
「ごめん、南、泣かないでまじで」
「っえ、う」
「泣かれると、どうしていいかわかんねー……」
ぽす、とまた胸に引き寄せられて、ぽんぽん背中を撫でられた。
前へ top 次へ