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「……ん……」



温かくて、目が覚めた。
僕は布団にねかせられていて、清潔な匂いがした。
あれ、ここは、と身体を起こした瞬間に、横から抱き寄せられた。
とっさのことで、身体がびくっと固まった。



「南、よかった、南っ……」



誰?

ううん、知ってる。
この声。



「さは、ら、くん……?」
「ごめん、ごめんなっ……」



学校のとは違う、弱々しい声。
どうして、そんな声なの。
身体が震えてるの。
僕を、抱き締めるの。



「っはな、して」



怖い。

けれど佐原くんは、いやだ、と小さく答えてさらに腕の力を強くした。
いやだ、怖い、痛い、



「やっ、やー…っ!やだ、っはな、してぇっ」
「南っ」
「僕のこと嫌い、な、でしょっ……も、放っといて、関わら、なっ……で……!」



怖くて、涙がぼろぼろ流れた。

そんな僕の顔を見て佐原くんはぎょっとした表情をした。
おろおろしながら、指でそっと、涙を拭ってくれる。
その手は、いつもの乱暴なそれと、全然違っていて。
びっくりして、涙が止まった。



「ごめん、南、泣かないでまじで」
「っえ、う」
「泣かれると、どうしていいかわかんねー……」



ぽす、とまた胸に引き寄せられて、ぽんぽん背中を撫でられた。



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