3
 

「な、に、っ」



怯えてしまっている。
一度布団をかけて、頭を撫でてあやした。



「ええと、この薬は、その、後ろからいれなくちゃいけなくて……」
「う、しろ」
「そう……でもよく効くし、千夏が苦しいのも、治してくれるから……頑張れる?」



千夏は、ぎゅっと目を瞑ってこくこくと頷いた。
いいこ、と背中から軽く抱き締めて褒めると、表情が和らぐのがわかった。



「……薬、いれるね」



布団をめくって、早く楽にしてあげようと、ぐっと座薬を千夏の後ろにいれた。
その瞬間、



「っあ……!」



小さな、叫び声。
千夏を見ると、シーツをぎゅうっと握りしめていた。
目は見開かれて、ぽろ、と涙が溢れる。



「ごめ、痛い?すぐ終わらせるから、」



慌ててぐいっ、と最後までいれてしまうと、



「っ、や、やあっ……!」



ばた、と腕を振り回して暴れだした。



「千夏!?」



咄嗟に身体を起こして後ろから抱き締めるけれど、逃げたいように暴れるまま。



「っひ、やだ、やだよっ、ごめ、なさいっ……」
「……!」



ぼんやりと、焦点の合っていない目。



「ごめ、なさい、ごしゅじんさまっ……!」



ぞっと、背筋が凍った。



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