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「っあ、」
首に航の顔が近づいて、ちゅってされた。
鎖骨や、捲られたお腹や、腕も。
航がちゅってするところは、痣がや傷痕が残っているところだった。
「ん、ぁ、」
くすぐったくて、きもちよくて。
でも、どこか怖くて。
「こ、ぅ」
「痛くないから、」
「ん……」
傷だらけの僕。
それでも、いいですか?
「っ奈津!」
がりっ、と自分の指を噛んだ。
じわりと遅れて血が滲む。
「こう、」
「奈津」
「なおし、て」
「……ん」
ちゅ、と航が僕の指を口に含んだ。
少しだけ痛んだ。
航の唇に、僕の血がついていた。
僕の、生きてる証。
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