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side.佐原



ぐちゃぐちゃになった制服が嫌で、それからすぐに家に帰った。
学校に戻るのも億劫で、そのままごろごろしていたら、いつもつるんでるやつから電話が入った。

責任は、取らせたからって。
冷たい汗が伝った。

急いで教室に戻ると、息も絶え絶えに、南が倒れていた。



「っみな、み」



俺が近づくと、南はびくりと震えた。
けれど逃げようとはせず、ただ悲しそうに少しだけ笑って、意識を手放した。



(死ぬ、なよっ……)



細い身体を抱えて、俺は病院へと駆け込んだ。
軽い身体に、ちくりと心が傷んだ。
幸い命に別状はなく、ひどい打撲程度だった。
検査中に意識が戻り、今は薬で眠っている。

南の両親がやってきて、助けてくれてありがとう、と頭を下げられた。
ありがとう、なんて、言われる立場じゃないのに。
手は出してないとは言え、俺の責任だってある。
今まで、平気で虐めてたんだから。



「みな、み……目、覚ませよ……」



両親が帰った後も、俺は病室に残っていた。
華奢な手をとって、それを握りしめながら、自然と目が覚めるのを待った。

静かな、懺悔と共に。



虐めたいわけじゃなかった。
振り向いて欲しかった。
誰も見て欲しくなかった。
自分だけ見てて欲しかった。

好きで好きで好きで。
控えめな、でも綺麗な笑顔が、好きだった。



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