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side.航



「っはー、おもしろかったー!」



休日の、昼下がり。
今週は課題もそう出てなくて、俺は奈津を部屋に呼んでいた。



「おもしろかった、ね」



前々から気になってた映画。
最近DVDになったと聞いて、すぐさま買ってきた。
ソファに並んで、見終わったところ。



「ちょっと休憩しよっかー」



映画を観るのって、楽しいけど、ちょっと疲れてしまう。
空になった奈津と俺のマグをとって、新しい飲み物を作りに行く。



「あ、ぼくも、」
「んーん、座ってていいよー」
「ありがと……」
「あ、今の時間、ドラマの再放送あってるかもー」



適当にチャンネル回してていーよ、とキッチンから声をかけた。

飲み物、何にしよう。
さっきはココアだったから、ちょっとすっきりしたやつとか……。



「ひっ……!」
「!」



短い悲鳴と、がたんっ、と床に何かが落ちる音がした。



「奈津?」



返事は、なかった。



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