4
 

side.譲



「いいこに、できなくて、ごめんなさい……っ」



そう言って、雨宮は泣いた。
暴れる力もなくした隙に、寝室へと連れて行った。

明らかな熱。
気付かなかったのは俺のせい。
雨宮が言えなかったのも、俺のせい。

雨宮に、無理をさせてしまった。
自分の気持ちを素直に言えないやつだから、俺が察してやらなくちゃいけない。
それなのに、気づいてやれなかった。
溜め込んだ気持ちに、気づいてやれなかった。



「ごめんな……」



布団を被せても泣き続ける雨宮の額を、何度も撫でた。



「ぼく、やなんです、先生の、ふたんになるのが」
「ん、もうわかったから」
「ごめんなさいー…ぼく、やくたたず、でっ」



自分を責めさせてしまった。



「役立たずなんかじゃねぇよ、」
「でも、っ」
「家事ができなくたって、勉強ができなくたって、それでいい」



ただ、雨宮それだけで、十分だ。



「気付いてやれなくて、ごめんな。きつかっただろ」
「………っ」
「ん、泣いていいよ」



泣きたいときには泣けばいい。
つらいときには言ってほしい。
必要なときは駆けつけるから。

一人で、抱え込まないで、と。



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -