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side.譲
「いいこに、できなくて、ごめんなさい……っ」
そう言って、雨宮は泣いた。
暴れる力もなくした隙に、寝室へと連れて行った。
明らかな熱。
気付かなかったのは俺のせい。
雨宮が言えなかったのも、俺のせい。
雨宮に、無理をさせてしまった。
自分の気持ちを素直に言えないやつだから、俺が察してやらなくちゃいけない。
それなのに、気づいてやれなかった。
溜め込んだ気持ちに、気づいてやれなかった。
「ごめんな……」
布団を被せても泣き続ける雨宮の額を、何度も撫でた。
「ぼく、やなんです、先生の、ふたんになるのが」
「ん、もうわかったから」
「ごめんなさいー…ぼく、やくたたず、でっ」
自分を責めさせてしまった。
「役立たずなんかじゃねぇよ、」
「でも、っ」
「家事ができなくたって、勉強ができなくたって、それでいい」
ただ、雨宮それだけで、十分だ。
「気付いてやれなくて、ごめんな。きつかっただろ」
「………っ」
「ん、泣いていいよ」
泣きたいときには泣けばいい。
つらいときには言ってほしい。
必要なときは駆けつけるから。
一人で、抱え込まないで、と。
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