半兵衛に高蛋白質の食事を作るように心がけていたという話から、栄養についての話題になった。

人間の生命維持に必要なもので、食事だけでは摂取が難しい栄養素がある。
ビタミンDだ。
それは太陽の光を浴びることによって作られるのだと説明すると、元就の瞳が輝いた。

「日輪の恩恵か…!」

「ええ、まあ…そんな感じです」

案の定、全力で食いついてきた元就に笑って簡単に説明する。

「ビタミンDは食品から摂取することも可能ですが、ごく僅かしか摂取出来ない上に、太陽の光を浴びて活性化させないといけないんです。だから、紫外線を浴びすぎるのも良くないけど、適度にお日様に当たるのも必要なんですよ」

「それが不足するとどうなるんだい?」

聞いてきたのは半兵衛だ。
元就も熱心に聞いている。

「ええと、色々研究結果が報告されていますけど、一番は骨が脆くなってしまうということでしょうか。ちょっとの衝撃で骨折しやすくなったり」

「なるほど、それは危険だね」

「日にどれくらい日輪を浴びれば良いのだ」

「日焼けする程長時間じゃなくて良いんです。そうですね……例えば、毎日お散歩するとか…そんな感じで」

「何をしている、早う参るぞ」

「は?」

「日輪の恵みを浴びてびたみんでぃーを作りに行くと申しておるのだ」

「あ、ああ、お散歩に行くってことですね」

「僕も行くよ、天音」

さっさと玄関に向かった元就に苦笑して、半兵衛が上着を手にした。

「今の元就君と二人にするのは心配だからね」

「すみません半兵衛さん、付き合わせちゃうことになって…」

「いいさ。“デート”というんだったかな?君と出掛ける口実になって丁度良かったよ」

「半兵衛さん…!」

元就は朝のアレでもう充分日輪パワーを摂取出来ている気がするというのは黙っておくことにした。



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