ある時、元親が言った。

「なあ天音、お前実は面食いだろ」

「どうして?」

「じゃなきゃ見るからに怪しいナリの男を拾って帰ったりしねぇだろうよ。竹中の奴は女みてえに綺麗な顔してっからな」

「今晩のご飯抜きにして欲しいならそう言ってくれればいいのに」

「いやいやいやっ、でもよ、神社にいたのがザンバラ髪の落武者だったら連れて帰ったりしなかっただろ?」

「うん。悲鳴あげて逃げてたと思う」

「ほら見ろ、やっぱ面食いなんじゃねーか」

「元就さん、元親がいじめる」

「我をくだらぬ言い争いに巻き込むな。それよりも八ツ刻の甘味はまだか」

「今日はババロアですよ。日輪模様にソースかけてあげますね」

「鬼は我が縛って転がしておいてやろう。早う持って参れ」

「はーい」

「え、ちょっと待て、なんでお前が──どわああああああッッ!!」



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