愉しいアソビ


※男+ベル、下ネタ



「もうおまえ飽きたんだよな。死にたくねーならさっさと消えてくんね?」

っしし、いつもと変わらない笑い声でひらひらと手を振り、涙をこらえて去っていく女を見送ったあいつは、そんな階下の様子を眺めていた俺を見上げ、さっきと同じように手を振ってきた。
それには手を振り返さずに、呆れたように…嘲笑うように鼻で笑う。
俺の表情にカチンときたのか、あいつはひょいひょいと階段をのぼり、俺にナイフを突き付けてきた。

「なにおまえ、オレに喧嘩売ってんの?」
「売ってねーよバーカ。ただあの女、えらくいつもよりは優しくフったなあって思っただけ」
「バカはてめーだろバーカ。あの女は他の奴らより聞き分け良かったからってだけだよ」
「へえ?」
「それよか、いつもみてーに追いかけねーのかよ、なあ?」

俺のおさがりばっか食い漁ってるカワイソーな庶民クン。


馬鹿にした声音で笑うこいつに、俺も笑う。
こいつが捨てた女を俺が慰めるフリして落としてんのは幹部連中なら誰だって知っている話だ。
別に狙ってやっているわけじゃない。ただ単に、俺とこいつの女の好みが一緒で、そして俺よりもこいつのが少しばかりモテるのが原因だってだけだ。
だからと言ってそれを悔しくも妬ましくも思わないが。

「あいつそこそこの女だったぜ?」
「……キョーミねえ」
「めっずらし。おまえの好みじゃなかったわけ?」
「いや?」

おまえが食ってきた女の中じゃ最高の女だよ。


含み笑いを浮かべる俺に、訝しげなこいつの表情には腹筋がよじれそうだ。

断っておくが、俺はこの王子が嫌いじゃない。
この組織内じゃ一番気が合うだろうし年も近い。戦闘での相性も最高だ。

だけど、まあたまには見返してやりたくなるのが男の性ってヤツだろう。

「誘い方は心得てるし声も体の捩り方もエロいしナカはキツいし、最高だったろ?アレッシアは」
「おまえ、」
「俺のおさがりでイった気分はどうだよ、なあベルフェゴール?てめえが鳴かせた女を開発したのはこの俺だぜ?」

締めつけ方も喘ぎ声も誘い方も、ぜーんぶ、な。

にやり、心底嫌っそうに顔をしかめたこいつに笑みを向けてやれば、返ってきたのはナイフの雨だった。

王子が庶民のおさがりを使うことほど滑稽なことはねーな!
ケラケラ笑いながら屋敷の中を走り回る俺を、ベルフェゴールは鬼の形相で追いかけ続けた。

「てんめーマジでぶっ殺す!」
「やってみやがれクソ王子!」


それが、俺らのアソビ方。
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