数日かけて纏、絶、練の修行を一通り終えたところで、私は久しぶりに屋上での煙草を楽しんでいる。
煙をくゆらせながら考えるのは、自分の能力についてた。まだ系統もわかってないから、完全に捕らぬ狸のなんとやら、なんだが。

特質系だったら絶対に除念系の能力だ。強化系だったら……とりあえずは治癒系か。ここらはヒロイン力高くていいと思う。うん。
変化系だったら炎とか使ってみたいなあ。いいよね炎、見栄えがいい。キルアの電気系も捨てがたいけど、どっちにしろ出来るかは謎だ。そこまでチートなんだろうか。
操作系だとしたら、やっぱ無難にシャルやイルミを参考にするだろう。具現化系ならシズクのデメちゃんを参考にしたい。デメちゃんめっちゃ便利よね。放出系は念弾系しか浮かばないのだけど、そういえばレオリオとセンリツも放出系だったっけか。オーラを放つ、の解釈広いよなあ。
結論、念は奥が深い。

携帯灰皿に煙草を捨てつつ、ヒソカの系統別性格診断で言えば、私は何系なんだろうと考える。
ノブナガには強化系っぽいと言われたけど、個人的には変化系か操作系か……。とりあえず訊いてみるか、とメールを送れば「操作系か具現化系だと思うな」とハートマーク付で返ってきた。
この二つの系統にだけは、絶対なりたくない。

はてさて。
部屋で着替えを済まし、階下に降りた私を迎えたクロロは、そろそろ発の修行に移ると口にした。
とてつもなくタイムリーだ。先に応用やるかなとも思ってたんだが、まあ自分の系統は知っておくべきか。

水をなみなみいっぱい注がれたグラスには、そこら辺でとってきたんだろう、一枚の葉っぱが浮かんでいる。水見式が一番ベターっぽいけど、他に系統を知る方法ってないんだろうか。あるにはあるか。
私が考え込んでいる内に、まずはタカト先輩が指示されてグラスに手をかざす。思考をほっぽりだしてグラスに意識を向ければ、ゆらゆらと水に浮かぶ葉が揺れた。

「うわ、動いた」
「タカトは操作系だな」

確かに先輩、結構マイペースなとこある。理屈屋かどうかはわかんないけど。
次はミズキだと声をかけられ、私もグラスの前に立った。鬼が出るか蛇が出るか、手をかざし、練をする。
グラスと葉っぱに、表立った変化はない。……これもしかして。
なんとなく結果を予想しつつ、指先につけたグラスの水を舐めてみる。

「お、オレンジジュースだ」
「何でだよ」

普通甘くなるとかそんくらいの変化じゃないの味が変わるって。オレンジジュースって具体的すぎるだろ。だいたい私そこまでオレンジジュース好きじゃないよ、りんご派だよ。

「変化系、だな。ミズキは」

「ワタシと一緒ね」って寄ってきたフェイタンが可愛いからオレンジジュースでも全然許す〜。思わず撫でてしまったらめちゃくちゃ睨まれたけど気にしない。謝りはした。

あとは系統別の修行をしつつ、凝やら陰やらの応用も覚えるようクロロが告げる。
ひとまずは、操作系に属するタカト先輩は同じく操作系のシャルに。変化系の私は同じく変化系のフェイタンに教えてもらうことになった。
G・Iでビスケがゴンとキルアに教えていたことなんかを思い出しつつ、ちらとクロロを見やる。
ところでこのハゲ、マジでただの司会役でしかなくないか。今んとこやったの、精孔をこじ開けるだけな気がする。

「ミズキ、お前今、失礼なことを考えただろ」
「気のせいじゃね」
「声裏返ってるぞ」

それから数ヶ月、変化系と並行して強化系と具現化系にも属する修行をこなしつつ、応用を交えての手合わせなんかもこなしていった。
今では攻防力移動である流を行いながら、フェイタンとめちゃくちゃ速い手合わせが出来るくらいだ。我ながら引く。

それでも、どういう能力にするかはまだ決まっていない。
変化系なら炎を使いたい、とか言ってたけど、キルアの電流みたく慣れてるわけでもなし、でかい火傷を負った経験なんかもない。とりあえずいつぞやに割った薪で焚き火をしてみたけど、あったかい! 以上! って感じだった。どうやらそこまでチートではないらしい。

「変化系かー」

いつもの屋上で煙草を吸いつつ、指先から飛ばしたオーラを数字の形に変化させていく。ビスケの言う、系統別修行・変化系の場合レベル1。
これは結構最初っから得意だったらしく、今では0から9までの所要時間は約二秒だ。ここでドヤ顔。
今度はトランプのマークやブランドのロゴを描いて遊び続けながら、ふう、と煙を吐きだす。

私の念能力が決まるのは、まだまだ先の話みたいだ。




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