4



なんとか辿り着くことの出来たマジバ、でバニラシェイクとポテトを頼み、席に着く。
どうしよう、携帯には何故か家族のものらしき番号が登録されていないし、何人かの友達らしい名前はあるけど、夢の中とはいえ見知らぬ人に頼るわけにもいかないし。
カチカチと携帯を操作して、男友達のフォルダに入っていた、黒子テツヤの名前をまじまじと、眺めた。

…いやいや無理無理、これ以上心配かけさすって私は鬼かなにかか。黒子にだって黒子なりの悩みとかなんかそういうの多分あるんだろうしそこに私の事までプラスさせるわけにはいかない。無理。そんなの黒子が可哀想。
ていうか事情説明する私の頭が可哀想と思われる気しかしないから本当に無理。黒子に可哀想なものを見る目を向けられたら絶対に涙出る。

「バニラシェイクうま…」

その黒子を魅了してやまない、マジバのバニラシェイクの味とはいかほどのものかと飲んでみたそれは甘くて、冷たくて、美味しかった。
久々にシェイクとか飲んだわ。
やっぱり疲れた時には糖分よね…なんて現実逃避。

にしても本当、どうしよう。
夢を見始めてからもう何時間経った?6時間くらい?ねえ、そろそろ起きても、よくない?

うっすらと浮かび始めた答えを、認める気にはならなくて、思わずゲンドウポーズ。
どうすればいいんだってばよ。わけがわからないよ。

脳内にいくつもいくつも浮かんでくる、言葉。

もしかして:夢じゃない。

もしかして、じゃねーよ殴るぞ。いや自分だから殴らないけど!
ていうかいや、いやいやいや、夢じゃないとか、夢じゃなかったらなんなのこの状況。
私が帝光中生徒で?黒子と同じクラスで?一緒に図書委員やってて?なんか無駄に赤司には毛嫌い?されてて?
わけわかんないって今日で何回言っただろう。
本当に、心底、わけがわからない!

えっもうこれ本当にどうしたらいいの。
仮に夢じゃなかったとしたら…なに?
私、帰る家わからないんですけど。携帯に親の名前入ってないんですけど。そしてこのままだと補導されかねないんですけど。ハイ家の住所書いてー親御さんの連絡先はー?とか言われてもアイドントノウしか言えないんですけど。
むしろアイキャントノウだよ。私は知ることが出来ないだよ!

「…相坂、なにをこんなところで1人、百面相をしているんだ」
「ああん!?」

呼ばれた名前に、反射的に苛立ち混じりの声で返答。顔を上げた先の人物に、さあっと顔から血の気が引いた。

「ふうん、へえ、そう。わざわざ心配して話しかけてあげた僕に、そんな態度を取るのか」
「わ、わーい赤司様だーこんばんはー…」
「今更取り繕っても遅いことは、もちろんわかっているよな?」
「…正直すみませんでした」

赤司まじ何でお前こんなとこいんの。
そして彼の後ろには青峰と黒子と黄瀬の姿。すっげー微妙な組み合わせに思えるんですがこれ一体どうなってんでしょう。
紫原と緑間どこ行った。先に帰ったのか。門限早そうだもんなあの2人。

各々トレーを持っていた4人は、何の断りも無く私の目の前に座った赤司に続くように私の周囲の席へとついた。
私の隣に黒子、その隣に青峰、赤司の隣で黒子の向いに黄瀬、といった具合で。


え、なにこれ。
どうなってんのこれ。

どうなんの私!?


back
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -