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どうやら体育館の照明が壊れたとかなんとかで今日の部活は休みになったらしい。
照明が壊れるってホラーかなんかかよと思う半面、緑間の3Pシュートのボールでも当たったのかとぼんやり考える。
うわ、正解だったらどうしよう。
とりあえず口をつぐむ事に決めた。

「で、テツヤはこいつに何の話をしていたんだい?」

こいつて。赤司くんまじ腹立つ。
顔が好みじゃなかったら多分殴ってた。ていうか好みでも殴りたい。ただしイケメンに限らないよ。

「…今日の相坂さん、なんだか少しおかしいように思えたんで…。悩み事があるなら、と伺ってたんです」
「そうか、テツヤは優しいね」

よそでやってほしい。

黒子はただひたすらに可愛いけれど如何せん赤司が私に向ける視線が怖い。
僕のテツヤに心配かけさせるなんて凡人の癖にいい度胸だねって言葉が聞こえる気すらする。ていうか多分この人絶対そう思ってる。

もう本当いい加減目ぇ覚めろよお私の脳みそさんよお…!
夢の中でまでこんな威圧を感じたくないよただでさえ現実でも講義担当の教授からすっごい威圧感放たれてんのに…。
あ、もしかしてだからこそのこれか。うわあ。お腹痛くなってきた。

「私は大丈夫だから心配しないで、ね?黒子君。この通り元気だし。本当に寝ぼけてただけだから」
「なら、良いんですが…」
「だそうだ。テツヤ、寝不足で学校に来るようなお馬鹿さんにお前が構う必要は無いんだよ」

言い方すっごい腹立つのにお馬鹿さん発言に萌えた自分が悔しい。大変解せぬ。
ていうか赤司さんあんたいつまでここいるんすか。部活お休みになったならさっさと帰りなさいよ。
ちらりと目線を向ければ、ばっちり目が合ってしまい思わず逸らした。
どうか心読まれてませんように!

「図書当番は5時までだったよね」
「え?はい」
「じゃあ僕はここで待つことにするよ。どうせ後少しの時間だしね。一緒に帰ろう」
「それは構いませんが…他のみんなは、」
「涼太と大輝と真太郎は外周に出ている。敦はもうすぐしたらここに来るだろう」

ああキセキ6人で帰るんですか。
中2の秋にも関わらずみなさん仲良しですね。さすが私の夢。仲良しキセキ万歳。
ていうか黄瀬がバスケ部入ったのっていつからだっけ?…まあいっか。どうせ夢だし、関係無いし。

5時を知らせるチャイムが鳴り、図書室内にいた生徒はぱたぱたと図書室から出て行く。
数分前に来ていた紫原も、立ち上がった赤司に続くように立ち上がり、黒子へと歩みよって行った。
ブラックベリー組まじ目の保養。

簡単な片付けと掃除を済まし、図書室を出る。
職員室に鍵を返しに行く役目を受けて、3人で階段を下りて行くのを見送った。
黒子だけがちらりと、私を心配そうに見つめていたが、微笑んで手を振れば小さく会釈をしてくれた。もう黒子くんまじ天使。

さて、職員室に鍵を返しにいって、私も帰るかあと歩み始めた瞬間、はたと気付く。
そうだよこれ夢じゃん私の家どこにあるかなんて知らないじゃんどうすんの私!?
学校周辺の道も知らないし!あれこれ私やばくね!?
本当にいつになったら覚めるのこの夢!

黒子達はもう帰ってしまったし、仮に帰って無かったとしても「私の家ってどこか知ってる?」なんて電波度マッハなこと聞けるわけがない。尚更心配されてしまう。
赤司にいたってはなんかもう汚物かなんかを見るような目線を向けてきそうだ。そんなの嫌過ぎる。

「いや、え…?まじでどうしよう」

私の名前の書かれた下駄箱に入っている、欲しかったけど買えなかった、有名ブランドのスニーカーを眺めながら、私は途方にくれた。


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