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部活終了後、校門で待っとくかあと体育館を出ようとしたら黒子に呼びとめられた。
赤司含むキセキの面子は、既に更衣室へと移動したらしい。
誰もいなくなった体育館で、2人、黒子と向かい合う。やだこの空気なんかこわい。

「赤司君と、なにかありましたか?」
「いや、特には…」
「ありましたよね?なにか無いと、赤司君がいきなり僕たちのクラスに入ってきたり、君を部活に連れてくるなんて、絶対にするわけありません」

やだ黒子っちこわい。

きゅ、と掴まれた手に力がこもる。こんなに細くてもちゃんと男の子なんだよなあと思えるその手の力に、うっかりときめいた。黒子まじかっこいい。
でもやっぱりこええ。

「相坂さんも、いつもは赤司君を避けているようでしたのに…だから安心していたのに、昨日からそれも無くなりましたし…」

だから安心していたとは一体。そこだけちょっと声量ちっさくなりましたけど黒子さん。
えっもしかして黒子も私にフラグ立ってたりすんの?やばい私人生2度目のモテ期な予感!ちなみに1度目は幼稚園児の時です!つらいね!

「僕、心配なんです!相坂さんが赤司君になにかされてしまったんじゃないかって…赤司君の事は大切ですし、信頼もしていますが、彼は相坂さんの事となると人が変わってしまうような時があります、から…だから…」

ああわかるわかる、ヤンデレモード入った人間って怖いよね。
脳内でうんうんと頷きながら、黒子の頭をぽんぽんと撫でた。本当にこの子は可愛いなあもう。

「別に酷い事とかはされてないから、安心して黒子君。赤司君は黒子君の知ってる通り良い子だから、君が気に病む必要は無いよ」

それに今の状況見られたらまた赤司にてめえテツヤになにしやがったと言わんばかりの勢いで頭鷲掴みにされかねんからな!
あれまじで痛いんだよ…。

黒子は嬉しそうに目を細めて、私に撫でられるのを享受しているようだった。
もうやだこの子本当に可愛い。天使。
楽園はここにあったのかとガッツポーズしたくなる。

「…わかりました。僕の杞憂だといいんですが、でも、もし何かされそうになったら僕を頼ってくださいね?」
「うんうん、ありが」

そこで私の声は途切れた。
不測の事態に陥ったからだ。

うん、よし、まず落ち着こう。

何が起きたんでしょうね今。
いやわかってはいるんですよ。私そんな恋愛経験少ないわけでもないですし。まあその全てが失敗に終わっているからこそ今の私は独り身なんですが。うるせーよちくしょう一人は一人で気軽なんだからな!
って、そうじゃ、なくてだな。


ちゅく、と卑猥な音を鳴らして、黒子の顔が離れて行く。
うっわあこの子すんごいえろい顔してる。誘ってる顔だねこれは。良かった私男じゃなくて。男だったら今すぐ黒子押し倒して掘ってたわ。そして赤司に血祭りにあげられた挙句地獄に落とされてたわ。よかったー私女で。

じゃなくて!

「相坂さんは僕だけの、世界で一番愛しい人ですから。…ね?」
「あ、はい」

ひっさしぶりにディープキスしたからよくわからんけどとにかく黒子のテクは上手だってことはわかりました。それとあと黒子はロールキャベツ男子だということも。
昨日のあのしょんぼり顔おまえ絶対あれ嘘だろ!
この子天使じゃないよ天使の皮被った悪魔だよお…思春期男子こわあ…。

「ちゅうしたのは、僕たちだけの秘密ですよ」
「あ、はい」
「相坂さん、さっきからそれしか言えてませんけど、大丈夫ですか?もしかして、初めてでした?」

いや初めてではないんですけど、ちゅうとか言う黒子が可愛すぎてやや放心気味とでもいいますか。
この状況どうしようと思っていた時に、ふと黒子が掴んでいた私の手を離した。

次の瞬間、聞こえてくるのは青峰の声。

「テツ!つばき!何してんだよ、赤司が待ちくたびれてっぞー」
「すみません、相坂さんがこけてしまって」
「え?いや、ったああ!?」

こけてなんかないんですけどと返そうとした瞬間、黒子に足をひっかけられ見事に地面へと突っ伏した。
ひ、ひざ、膝打った、昨日も赤司に膝かっくんされて打ったのに!また打った!ついでに肘も打ったんだけどどうしよう黒子まじ悪魔。
大丈夫ですか!?じゃねーよこんにゃろう。油断してたわ。

「お前ほんとどんくせーな」
「うっさいわバカ大輝」
「相坂さん、歩けますか?肩貸しましょうか?」
「いや遠慮します黒子君の肩借りるなら大輝におんぶしてもらう」
「え、つばき胸ねーからやだ」
「殺すぞ!!」



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