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学校に戻ればまたこれかよ、と私は遠い目をしながら乾いた笑みをこぼした。ちょっぴり涙も出た。

呼び方こそ名前呼びになったとは言え、やはり結局は、この世界の赤司は立派なキセキ厨らしい。
おいヤンデレどこいった。むしろキセキにもヤンデレなのか、そうなのか。

校門で出会った黒子に元気よく「黒子くんおーはーよー!」と声をかければ、僕のテツヤに馴れ馴れしくするんじゃないと頭を鷲掴みされ。
ならばと下駄箱で出会った黄瀬を無視してみれば「僕の涼太を無視するなんて良い度胸だね」とハサミを突き付けられ。
じゃあどうすればいいんだよと次に廊下で擦れ違った紫原には「おはよ」と適当に挨拶すれば、愛想悪いとヘッドロックされかけた。さすがに逃げた。


なんなの赤司まじほんとめんどくさい!


「つばきちんと赤ちん一緒に登校してくるとか珍しいね〜」
「心境の変化みたいな奴ですかね!」
「ふーん?まあどうでもいいけどー。それよりなんかお菓子持ってない?俺お腹すいちゃった」
「えぇ…飴ならあるけど」

カバンに入っていたヨーグルト味の飴玉を渡せば、紫原は嬉しそうにきゃっきゃと笑ってそれを口に入れた。瞬間。
がりぃ!と勢い良く噛み砕き、その後もばりぼりと飴を食べている効果音ではないはずの音が続く。
思わず唖然と、そんな紫原を見上げてしまった。首痛い。

「なに見てんのつばきちん?ねえ、食べ終わっちゃったからおかわりちょーだい」
「…ねえよ…」
「え?」

ふるふると体を震わせ、ばしっと軽く、紫原のお腹にパンチを入れた。

「飴は噛むもんじゃ無いわ!なめろよ!」
「ならば敦は殴るものじゃないぞ」
「いったたたた痛い痛いすまっせん赤司様調子乗りましたごめんなさい離してください頭からぬるっとしたもの出ちゃううう」

いやだって飴玉って噛むものじゃないじゃん…舐めるものじゃん…いや人にはそれぞれの食べ方があるだろうけどさあ…衝撃的すぎてちょっと自分を見失いかけたんだよ…。
ていうか赤司の言い方を借りるなら私の頭は掴むものじゃないよ…いたい…。

「…敦、これをやるから早く教室に戻れ」
「え?わあいまいう棒だ〜!赤ちんありがとう!」

うっわ赤司すっげえいい笑顔した。お前ほんとキセキのこと大好きな。特に紫原と黒子がお気に入りなんですかそうですか。
まあ確かに天使と妖精だから仕方ないよね!
さーてじゃあ私も教室に行きますか、と赤司に背を向ける。と、首根っこをがしりと掴まれ、必然的にぐえっと私の首は締まったのであった。完。
いや終わりませんけど。

「何するんすか赤司さん…すんごい綺麗に首締まったんだけど…」
「つばきが勝手に僕から離れようとするのが悪いんだろう?ああそれと今日から僕もつばきと同じクラスになったから」
「は」
「それとお前のクラスには大輝と涼太もいるぞ。昨日気付かなかったのか?」
「は…?」

いや気付きませんでしたわ。何で気付かなかったんだろう、私。不思議。

ていうか、え?赤司とクラス一緒?お前こそ本当に昨日いなかったよな?え?一生徒がそんなこと簡単に出来るの?
そんな私の考えを読み取ったのか、にこりと赤司は不敵な笑みを浮かべた。お麗しいです。

「僕に出来ない事があるとでも?」
「ああ、まあ、そうですよねー」



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