9 おはようございます。 爽やかで温かくて、最低最悪な朝ですね。 おはようございますちくしょう。 私の自室があるにも関わらず、昨晩は赤司様の御命令により赤司の自室でおやすみしました。 抱き枕にされました。 くっそ赤司かわいい。むかつく。その寝顔写メって待ち受けにしてやりたい。 シモな展開にならなかっただけ良しとしよう。赤司が思春期真っ盛りな見境の無い男じゃなくて良かった。 まあヤンデレっていつメーター吹っ切れるかわかんないから怖いんですけどね! これからどうなることやら!ははっ! 「ん、…つばき、起きた…の、か」 「ああはい、おはようございます」 寝起きの掠れ気味な声えっっっっろ!! ごちそうさまです!朝っぱらから御馳走様です!!私もう朝ごはんいりませんね! 上をむいて寝転がり天井を眺めていた私に対し、赤司は私の方を向くように横になって、私の腰に腕を絡めている。 あれこれ男女逆じゃね?とうっすら考えたが気のせいにした。考えてはいけない気がする。 むくりと体を起こし、顔を洗ってくると低めの声で言った赤司はベッドから降り、ふらふらと歩いて、そのまま。 「いっ、!」 ドアに正面衝突した。 おいおいおい大丈夫かこの人。寝起きわっるいな。低血圧か。 へなへなとぶつかった衝撃で座り込んでしまった赤司を呆然と眺める。が、動かない。 え、死んだ?赤司さん死んだ? おそるおそる近寄り、肩を軽く叩く。 「……」 無反応。あっこの人二度寝してますね。 まだ6時。時間はあるし大丈夫だろう。 ベッドに戻すとか布団をかけてあげるとかいうのはぶっちゃけ面倒だったのでせずに、そっと赤司の部屋から出る。 顔を洗ってからキッチンへと向かい、冷蔵庫にあったほうれん草とベーコン、卵と牛乳を取り出して、朝ごはんの準備に取り掛かった。 なんか赤司のことだから朝食にもこだわり持ってそうだけれどそんなもの知らぬ。 冷蔵庫に鮭の切り身が見えたけどそんなもの知らぬ。 私は朝は洋食派だ。 ある程度の準備が終わり、時間は6時半。 もしかして赤司、あの体勢で30分も寝続けたのだろうか。だとしたらすっげーなオイ。 いい加減様子でも見に行くべきか、とキッチンから出ようとしたところで、激しくドアの開く音が部屋中に響き渡った。ドア壊れるぞ。 「…っ、つばき、つばきっ!」 慌てたように、悲痛な声音で私の名前を呼ぶ、赤司。 わあいヤンデレ、つばきヤンデレそこまで好きじゃない。 そんなことを考えながら、リビングのドアを開く。 赤司は私の部屋の方を確認していたようで、リビングから姿を現わした私を見つけると、私の名前を小さく呼びながら、へにゃりと安堵の笑みを浮かべた。あらかわいい。 「起きたら、君がいなくなっていたから」 ぎゅうと私に抱きつく赤司に、あの威厳というか威圧感というか、はまったく感じない。 普通、でもないけれど、ちょっと寂しがり屋さんな中学生といった感じだ。 自分が20歳を超えているからだろうか、まるで子供のようで可愛らしい。萌える。 というか、私がいなかったことより目覚めた時の自分の体勢に疑問を持つべきだと思うのは私だけですかね。 「昨日の、は、夢じゃないよな?つばき、君は、昨日のままだろう?」 「ええまあ、そうですね」 残念ですが。心の中で付け加える。 良かった、そう呟いて、赤司は私から体を離した。小さく2回ほど咳払いをする。 何を今更取り繕おうとしているんだろうこの子。かわいい。 「僕は顔を洗ってくる。朝食は?」 「ほうれん草とベーコン炒めたやつとオムレツでいいなら、出来てますけど」 「ありがとう。…それにしてもつばき、料理も出来るようになったんだな」 きょとん、とその言葉に目を丸くする。 なに、この世界の私料理出来なかったの?桃井ちゃんやリコちゃんレベルだったりしたの? やだそれこわい。 「味、期待しているよ」 「いやあ、期待には添えないかと思いますが」 微妙な表情を浮かべる私にくすくすと笑い声を洩らして、赤司は洗面所へと消えた。 …うん、まあ、食べる用意でもしておくか。 ← → back |