子供と子供



突然ですが、体がちっちゃくなりました。

「どうするこれ」
「どうしようねえ」

真選組の皆さんへ、と書かれた包みが届いたのが朝のことだ。
それを受け取ったのがあたしと千果。開いてみれば中身は美味しそうな塩まんじゅうで。
皆さん宛なんだから誰が食べても良いだろうと一足先に2人で頂くことにした、のがそもそもの間違いだった。

1つをすべて食べきった直後に、みるみる縮んでいった体。
今の体は…3、4歳ってところだろうか。
意識までは縮んでないのがせめてもの救いである。

縮んだ所為でぶかぶかになった服は脱げ、今はTシャツを申し訳程度にかぶってる状態。
千果と2人どうしたもんかと頭を悩ませていたら、障子の向こうから山崎と沖田の声が聞こえてきた。

「史紀さん、千果さんー、一緒にお昼食べに行きませんか?」
「美味い定食屋見つけたんでさァ、行きやしょうぜ」

その瞬間千果と視線を交わし、こくりと頷く。

2人でどうにかこうにか障子を開ければ、その向こうにいた山崎と沖田はあんぐりと口を開けて呆然としていた。

「お兄ちゃん、だあれ?」
「ここどこー?」
「え、えぇぇえええ!?」
「史紀と千果、ですかィ?」

うんそうだよー!と千果と2人して元気いっぱいに頷く。

せっかく見た目幼女になったんだから中身もそれになりきって好きキャラに甘えまくってやんぜ!!という計画の元のキャラ変更です。てへぺろ。

ぽかーんとしている沖田と山崎。かわいいなあこの2人と思っていたら、不意に沖田に抱え上げられた。
まじまじとあたしを見つめる。そんな見られたら穴が開いちゃうよ。

「こりゃあ驚いた。ホントに史紀と千果みたいですねィ」
「で、でも何でこんなことに…?」
「あのね、私達あそこのおまんじゅう食べてたの!美味しかったよ!」

千果の説明によって、初めて山崎達は部屋の机の上に置かれたまんじゅうに目を向ける。
あたしをおろしてまんじゅうを手に取った沖田がそれを一通り眺めて、ああと頷いた。

「これ、最近どこだったかの星から流れてきた体が縮むとかいう薬でさァ」
「そんなもんあんのかよ…」
「、史紀さん?」
「えっ!んーん、何でもないっ」

ぼそりと呟いた言葉が山崎に聞こえたらしく首を傾げられたけど、詳細は聞こえてなかったらしい。そっかと笑って頭を撫でられた。
へーいテンション上がるね!!

「ま、大方どっかの攘夷浪士が俺達に食わせようとして送ってきたんでしょうねェ。それを史紀と千果が食っちまったと」
「史紀さんと千果さん、意外と食い意地はってるからなあ…」
「「……」」

山崎、うちらのことそんな風に思ってたのかよ…確かに食い意地はってる自覚はあるけど!つら!
千果となんとも言えない表情で目を合わせていたら、ひょいとあたしは山崎に、千果は沖田に抱き上げられた。

「とりあえず、近藤さんと土方さんに説明しに行きやすかね。こんなナリじゃ仕事も出来ねーだろうし」
「そうですね」

そのまま抱っこされている体勢で近藤さんと土方がいるらしい部屋まで連れて行かれる。
山崎に抱っこされてるよあたし、やばいこれやばい、幸せすぎる。もうずっと子供のままでいたい。
ぎゅうと山崎の首に腕を巻き付けてえへへと笑えば、山崎もにっこりと笑ってまたあたしの頭を撫でてくれた。ひいい可愛すぎて昇天しそう。

「小さい史紀さんも可愛いですね」
「千果は元からこんぐらいだった気もしますけどねィ」
「ちっちゃくないよ!」
「いや今は小さいですよ」

前を歩く沖田の腕の中からこっちに顔を覗かせ、山崎にべーと舌を出す千果。それに対して苦笑している山崎のほっぺをぺちぺちと叩いてやった。

「どうしたんですか?」
「何でお兄ちゃんあたし達に敬語なの?あたし達のが子供だよ?」

我ながら3、4歳児はこんな喋り方しないだろうなあと思いながら呟く。
うまくいけばタメ口山崎をこの目に!拝める!じゃないか!!

「うーん…いつもので慣れてるからですかね?」
「変だよ!」
「えっと、じゃあ…普通に喋るね」

イェァァア山崎のタメ口頂きましたー!
子供の姿やばい!もうあたし一生このままでいたい!



 (ワンモア!ワンモアセッ!)(どうしたの急に!?)

 
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