紅色の空6




どうやらまだ天に見放されてはなかったらしい。
ずるずると壁沿いに歩いて行ってれば、運良く船上まで出てこられた。
しかも向こうに千果いるじゃん。何でか1人だけど。おい神楽ちゃんどこ行った。

「史紀また怪我してる!何で!?救きゅ」
「そのボケはもういいっての」

こいつあたしが怪我する度に救急車ァァア!って叫ぶつもりか。ふざけんなよバカヤロウ。

「神楽は?」
「なんか新八来てたから預けた。その方が原作に影響無いかと思って」
「はあ?ここまで来たのかよ新八…無茶すんなっつったのに」

まあいいけど。

千果の低い肩を借りながら船上に蔓延る攘夷浪士共を斬りつつ進んでいく。
んでやっぱり千果はまったく怪我してねーのな。余裕そうな面しやがってむかつく。
何であたし強くなんねーの?土方レベルには素振りとかしてるはずなんだけど。
はあ…怪我治ったら土方に稽古付けてもらおう。

「で?私達どこ行くのさ」
「えー、銀時対似蔵見たい?」
「いや別に」
「んじゃ適当に春雨と浪士共蹴散らして何人か捕まえようぜ、もうお出ましらしいし」

上空を見上げれば宇宙海賊春雨の艦隊。
そして続々と増え続けていく、天人の姿。
こちとら腹の傷が痛くて立つのもやっとだって言うのに何でこっちに集まってくっかなあ…あ、真選組の隊服着てるからか。

「そのナリで逃げるたぁ思ったより骨のある女らしい」
「…げ、高杉」

ヅラとの話は終わったんですかィ。もうあたし時間感覚わかんねーよ。
どうやら今から春雨の船に乗り移るところだってのはわかるけどさ。

「史紀、ちゃっかり高杉と顔見知りになってんだね」
「正直見るだけにしときゃ良かったって絶賛後悔中だけどな」
「俺と一緒に来い、史紀。幕府の犬なんぞといるよりよっぽど楽しめるだろうよ」

そんな自信たっぷりなナンパ初めてされたわ。
高杉が、あたしに手をさしのべる。

…そのナンパがこっちに来てすぐにされたんだったら、受けたかもしんないんだけどねー。

周囲を取り囲む天人、浪士共を千果と2人で斬り捨てていきながら、高杉に向かってニィと口角を上げる。
傷の痛みなんざ、気にしてらんない。

「悪いけど、あたしには帰る場所があるんでね。その誘いは受けられんよ」
「…じゃあ攫ってやろうか?」
「遠慮願うわ」

ほとんどの敵が地に沈んだところで、静かに高杉と向かい合う。
好きなんだけどねえと何とも言えない笑みを浮かべながら、煙草を取り出して火を付けた。

「酒の一杯くらいなら、いつでも相手になるけどね」

煙と共に吐きだしたその言葉に、高杉はくっくと、やっぱり楽しそうに嗤うだけだった。



 (つーわけで携帯番号とアドレスください)(ホント面白ぇ女だなお前)

 
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