焼肉と散財
夜の6時前。
万事屋の戸をがらりと開け、あたしと千果は声をかけながら中に入った。
「こんばんはー」
タイミング良く玄関前の廊下にいた新八くんがすぐに気づき、驚いたような顔をした後すぐに笑みを浮かべる。
「史紀さん!千果さんも、どうしたんですか?」
「いやちょっとねー。晩ご飯の用意ってもうしてたりする?」
「え?まだですけど…」
そのまま3人で居間へと向かいながら、居間でごろごろしている銀時と神楽ちゃんにもこんばんはーと挨拶をした。
千果と仲の良い神楽ちゃんはすぐに満面の笑みを浮かべ、千果にハグという名のタックルをかましてくる。
「どーしたんだオイ?お前らが2人でここ来るなんて珍しいじゃねーか」
「銀ちゃんそんな口聞いていいと思ってんのー?」
「あ?」
「焼肉、みんなで食いに行こうぜーって誘いに来たんだけど」
瞬間、万事屋3人の顔が驚愕に染まった。
「まじアルか!!」
第一声を発したのは神楽ちゃんで、その顔はキラキラと輝いている。うむかわいい。
銀さんと新八くんはちょっと怪訝そうな表情で、クエスチョンマークを浮かべていて。
「オイオイ史紀ちゃん、俺らにンな金あると思ってんですか」
「何言ってんのがめつい銀ちゃんらしくないなあ」
「今がめついっつった?このチビがめついっつったかオイチビコラ」
「チビじゃないやい!」
ばちばちと火花を散らしあう銀時と千果は放置。相手してたら時間がいくらあっても足りないし。
「安心しなよ、あたしらのおごりだから。腹一杯食っていいぜー?」
「キャッホォォオウ!千果も史紀も太っ腹ネ!!」
「で、でもそんな良いんですか?神楽ちゃんもいるし、いくらかかることか…」
「いーのいーの。子供はそんなこと考えずに大人の好意に甘えときなさい」
「私たち一応幕臣だし、気にしないでいーよ」
へらりと笑うあたし達に、新八くんもそれなら…と微笑む。
でも一番テンション上がってるのは、この中で最年長であるはずの銀さんだった。
さすが中身は少年。
「聞いたか神楽ァ!焼き肉タダで食い放題だぞ!3日は何も食わなくていいぐらい詰め込め!!」
「1番大人な人が1番甘えてるんですけど」
「いやぁー持つべきモノは金持ちの知り合いだなァ」
「お前はもっと遠慮しろよ銀時」
なんかむかついたのでとりあえず頭を一発はたいておいた。さして意味は無いけど。
じゃあ行くかーと万事屋を出て、近場の焼肉屋へと向かう。
今日万事屋トリオを焼肉に誘った理由はなんと言っても、「肉ではしゃぐ3人が見たかったから」で。
既にスーパーハイテンションな銀ちゃんと神楽ちゃんを見てるとあたしまで楽しくなってくるよね。新八くんも嬉しそうだし。
「とりあえず20万持ってきたけど足りるかな」
「私もそんくらい持ってるから多分大丈夫だよー」
「だといいけどなー」
(お会計34万7千82円でーす)((うわあ…))
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