青天の霹靂




退院して数日。

まだ激しい運動は出来ないあたしは、土方の自室でのんびりと煙草を吸いながら書類整理をしていた。
あたしがチェックした書類を土方が見直してサインをする、その流れで溜まりに溜まった書類をどんどん減らしていく。

この作業で午前中の時間はほぼ潰れてしまった。これ終わったら絶対土方になんか奢らせる。あたしは今猛烈に抹茶パフェが食べたい。

「あと10枚で終わりー」
「おう」

まだチェックしていない書類を数えて土方に告げれば、土方はやっと終わると言いたげな顔でぐっとのびをした。
あたしも凝り固まった指をぽきぽきと鳴らして、ラストスパートにかかる。

そして、次の瞬間。

「「死ねェェ土方ァ!!」」

砲撃された。

すんでのところで直撃は避けたけれど、あたしと土方がいた場所は突然の爆撃によって大破している。
せっかくまとめた書類が…と呆然としていたら、煙の向こうから2つの影が姿を現した。
確認するまでもない、沖田と千果だ。

「「チッ、生きてたか」」
「ふざけんなァァア!生きてたかじゃねェよテメエら!!」

声を揃えて残念がる沖田と千果に、抜刀して斬りかかろうとしている土方。
ひょいひょいと避ける2人に怒りと呆れが混ざった複雑な心境になりながら、目の前を通った千果の頭にげんこつを落とした。

「オイ千果、お前あたしがいんのわかってて撃ったろ?オイこっち見ろコラ」
「いやぁーなんか…ノリで?」
「んなてへぺろ的なノリで爆撃される身にもなれェェ!アホかお前は!!」
「いーじゃん無事だったんだからさー」
「おい目の前の惨状見ろ。午前の時間潰してまとめた大事な書類が大怪我してんだろーが」

ちらりと周囲に目線を向けて、えへ!と笑う千果の頭にげんこつ2発目。
どうしてくれんだこの書類。また1からやり直しってかふざけんなよあたしはもうやんねーぞ。午後からは抹茶パフェを土方に奢ってもらうってもう決めてたんだからな。

すぐそばで沖田にブチギレてる土方に目をやってため息をひとつ。

「んっとにどーすんだよこれ…」
「「なんとかなるなる!」」
「「上等だコラてめえら表に出ろォ!」」

なんだよこいつらまじ沖田と千果が今心底うぜえ。涙出そう。
爆撃された可哀想な書類達のやり直しは沖田と千果にさせよう。今決めた。これもう決定事項な!

その時ぴりっとした体の痛みを感じて、そういえば自分が病み上がりだったことを思い出す。
よくそんな体でバズーカ避けられたな。自分で自分尊敬するわ、よくやったあたし。

「お前らほんといい加減にしろよ…土方狙うのは別にいいけどなァ」
「オイ史紀待て良くねーだろ」
「あたしまで巻き込むなって頼むから。まだ全快じゃねーんだぞ」
「無視かオイ史紀コラ」

いやだって土方はいつものことだし慣れてるじゃん。
せめて千果からの被害だけでも無くしたいなら近藤さんと千果の仲を邪魔しないことをおすすめするよ。

「だーって史紀がいつも土方と一緒にいるからさー、まあいっか!って思って」
「オーケーわかった、剣を抜けクソチビ」
「史紀、怒るなら千果じゃなくて土方コノヤローの方にしてくだせェ。そいつが史紀といるのが悪いんでさァ!」
「よーし勝負だ剣を抜けェェエ!」

完全にキレ、刀を振り回しながらあたしと土方は千果と沖田を追いかける。
けらけらと笑いながら逃げていく2人を見て、心の底から思った。


あいつら組ませたらロクな事がねェ!



 (土方はいつも大変だね…)(お前もな…)

 
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