花粉症と昼寝




「ふぇっくしょい!」
「…風邪?」
「いぁ多分花粉症」

ずびっ、と涙目で鼻をすする千果。
そんな時期なのか、そういえば最近マスクしている隊士多いもんな。

あたしは花粉症にはなりにくい体質らしく、生まれてこの方花粉に悩まされたことはない。
ティッシュで鼻をかみマスクを装着する千果をぼんやり眺めながら、ってことはもしかしたら万事屋メンバーも花粉症になってんのかもなあなんて考えた。
ヘドロ伯爵が江戸に来るのってこんくらいの時期だった気がする。まあわざわざ絡みには行かないけど。

「あっ近藤さーん!外に行くならお供しますー!」

がちゃがちゃと食器をあわただしく片付けて、千果は食堂の外を通りかかったらしい近藤さんにタックルをかます。
今日も元気なこって。
あたしも食べ終えた食器を片付けてから、何かやることあっただろうか考えつつ、食堂を後にした。


土方に頼まれてた書類はある程度整理し終えたし、見廻りも無い。うん、やることないな。
わざわざ花粉が飛び交ってる外に出る気にもならず、結局自分の部屋に戻った。
最近サボりがちだった刀の手入れでもしよう、うんそうしよう。暇だし。

テレビをつければ花野アナがマスクをつけて江戸の花粉状況について実況していた。
アナウンサーも大変だな。


「…んはっ!やべ、寝てた」

気付いたら寝ていたらしい。剥き身の刀かかえて寝るとかどんだけだよ自分。危なすぎるだろ。
刀をしまい、障子を開けて外に出ればもう夕日が出ている。

えーあたし昼からずっと寝てたのかよ…我ながら引くわ…。

「あっ史紀さん」
「お、山崎おはよ」
「おはようござ…ってええ!?今まで寝てたんですか!?」
「朝からじゃねーぞ昼寝だよ」
「そ、そうですか…すみません」

さすがにそこまでは寝ないよたまにしか。

話を聞いてみればどうやら山崎も今日の仕事は終わったらしく。
今から着替えて自室でゆっくりしようと思っていたとこだそうだ。お疲れさまです。

「そーいや山崎は花粉症?」

なんとなく山崎の部屋までついて行きながら不意に問いかける。
てかノリでついてきたけどこれあたしどうすんだ。山崎の着替えでも覗けばいいのか。むしろ着替えてる途中の山崎を押し倒せばいいのか。
それが出来たら苦労しねーけどな!!

「いえ、今年はまだ…いっつも周りと遅れてかかるんですよね」
「ほう、流行に疎いタイプと」
「悪い言い方しないでください!」

焦りながらツッコミ入れてくる山崎にけらけらと笑い声を漏らす。
ほんと山崎可愛いな。花粉症になったら写メ撮ってやろ。きっと涙目で可愛いだろうし。

「はー、山崎押し倒したい」
「いきなり何言ってんですかァア!?」
「えっ口に出てた?」
「…出てましたよ思いっきり…」

若干呆れてる山崎も可愛いね!てへぺろって感じの表情をしたら、なんか可哀想なモノを見る目で見られた。



 (お姉さんそんな顔する山崎見たくないよ)(お姉さんって同い年じゃないですか)

 
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