退屈な遊園地3




各々ベンチに座り一服。
喫煙家のあたしと土方と松平さんは灰皿が近くにあるベンチに座って、すぱーと煙を吐いていた。しかしベンチ狭ぇ。

「なんてこった…まさかアレで引かねーなんて。我が娘ながらなんて恐ろしい」
「いやホントに恐ろしいよ」
「まったくだ」
「なんだお前らまだウンコのこと言ってんのか?お前ら他人に言ったら殺すからな」

誰かに言ったところでさすがに笑いのネタにもなんねーよこんな話。

吸い終えた煙草を灰皿に放り捨て、まだ続いている松平さんと土方の話を話半分に聞く。
買っておいたオレンジジュースをずごごとストローで喉に流し込み、ため息混じりに空を仰いだ。早く屯所帰りたい。

「トシ、それはあれか?栗子ちゃんは脱糞なんかじゃ全然引いてないと…お前は俺が脱糞してどん引きしてたのに、栗子ちゃんはそんな汚い部分も含めて奴を包み込んでいると…そういうことか?」
「近藤さん、俺も引いてますぜ」
「あたしも」
「私は全然引いてませんよ!近藤さんのどんなところもぜーんぶ包み込みますっ!」

こいつまじ歪みねえ…。
千果の満面の笑みにほろりと涙をこぼしてありがとうと呟く近藤さんの茶番を横目に、再びため息。

他人のデートを邪魔するってだけでも気乗りしないのに、山崎もいないし退屈なことこの上ない。

観覧車に乗り込もうとした栗子ちゃん達を追い走り出した4バカを呆れ混じりの苦笑で見送り、新たな煙草に火を付ける。
ぼんやりと座っている土方にちらと視線を向けて、そういやなんか回想シーンが入ってたなあとうっすら思い出した。
土方スペシャルにどん引きする遊女達だったか。あれはまあどんまいとしか言えないよなァ。

「クク」
「…いきなり笑うなよ、びびるわ」
「や、何でもねーよ」

笑みを浮かべながらゆっくりと立ち上がり観覧車の方向へ去っていく土方。
4バカをぶっ飛ばしに行くのだろうとそれを無言で見送り、口からゆっくりと煙を吐きだした。

売店でバスタオルでも買っておくか?つーか売ってるのかなバスタオル。まあタオルくらいなら売ってるだろ。

にしても今回あたし来る必要あったのだろうか。
完全に煙草吸ってソフトクリーム食べに来ただけだったんだけど。遊園地を楽しんですら無いんだけど。

「めんどくせ、帰るか」

タオル買って待っといてやんのもめんどくさくなってきた。
携帯をいじって山崎にメールを送り、遊園地前まで迎えに来てもらうよう頼む。
了解ですと返信が来たのを確認して、くぁとあくびをしながら観覧車に背を向けた。

背後から爆音が聞こえる。
4バカ及び土方とチャラ男が水の中に落ちてったんだろう。確かそんな感じだった気がする。
確認する気も起きずに、今日何回目なのかもわからないため息を吐き出した。



 (やっぱり山崎が1番だよ)(…?お疲れさまです)

 
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