苦労人の説教




よっしゃあああああ謹慎終わったあああああああああ!!
ハイテンションガッツポーズをして、土方に反省文400枚を叩き付ける。
何だそのポーズと呆れながらも土方はあたしに1本の煙草を手渡してくれた。

「まあ頑張ったじゃねェか」
「あーざぁぁっす!!」

自分のお気に入りではないけれど3ヶ月振りの煙草。やべえうめえ。あたし生きてる。

結局脱走もしなかったのは見張りが山崎だったからに他ならない。
もし見張りが隊士Aとかだったら確実に脱走してた。そんできっとバレて謹慎期間どんどん長くなってたな。あたしよく頑張ったよほんと。

「んじゃ早速万事屋に遊びに行ってきまーす」
「おいちょっと待て」
「チッ」
「あれ今舌打ちした?お前今舌打ちしたよな」

気のせいですよはっはっはなんて高笑いをしながら煙草の煙を吐き出す。
ぱらぱらと反省文を捲っていた土方が、最後50ページのあたりで手を止めていた。

おいおいにーちゃん瞳孔開いてるぜ。あっもともとか。

「途中までまともに書いてると思えばてめえ最後の方1ページ1文字とかふざけてんのかァァア!しかもちょくちょく隅にラクガキしてんじゃねェよ無駄にうめーし!」
「褒めないでください照れます」
「褒めてねェェよ!!」

バレたか。最後の方はもうめんどくなって1ページに1文字ずつ書いたんだよね。
でもそれでも350枚はまともに書いたんだからそこは評価して欲しいよ。あとラクガキぐらい許せ。

今にも斬りかかってきそうな土方をどうにかこうにか宥めようとする。無意味だったけど。

「あと50ページ書き直せ!!」
「断固拒否る!!土方のかっこいい似顔絵描いてやっからそれで許せよ!」
「んなもんで許せるかァァア!」

頭かってーよお前まじ勘弁してください。

「しかもこれおまっ…よく読んでみたら反省文でも何でもねーじゃねーか!ただたんに山崎について書かれてる文章だろーが!!」
「山崎が可愛いのがいけないんです!あの天使はあたしをどうしたいんですか!嫁にください!!」
「知らねーよ!!」

絶叫に次ぐ絶叫で耳が変になりそうだ。
あたしも叫んでるけど。
ほんと銀魂キャラはよく叫ぶなあみんなテンション高いよなあ。

一通り怒鳴り終えたのか、自分も煙草に火を付けて一服しだす土方。
ああ説教終わりかと思って土方に背を向けたら煙草の空箱が頭にカコーンとナイショットした。地味に痛いんだけど角当たったんだけど。

「何するんすか」
「まだ話は終わってねェ」
「えー?まじすかぁ?あたしもう新八くんとかぁ、銀さんとかぁ、神楽ちゃんに会わないとぉ、テンション上がんないんすけどぉ」
「なんだその喋り方鬱陶しいんだけど」
「サーセン」

奇遇だね、あたしも自分で言っててうざいなって思ったよ。

仕方なく土方の前に座り込み、口に咥えてた煙草を灰皿に押しつけ火を消して大人しく説教を受ける体勢に入る。
あたしが大人しくなったのを確認して、土方が口を開いた。

「怪我はもういいのか」
「はあ、まあ。さすがにバク転とかは出来ないけど」
「元からバク転出来ねーだろお前」

ついでに言うとやろうとしたこともねーよ。
バク転なんか体操の選手とジャ○ーズぐらいしか出来なくても問題ないだろ。

「今後もう天導衆には関わろうとすんなよ」
「…しませんよ、めんどくさい」

どうやらこんな態度でも土方なりにあたしを心配してくれてるらしい。へへ照れるね。
にやけてんのがバレたのか今度は灰皿を投げ飛ばされた。テメェェエ灰残ってんのが体にかかったじゃねーかふざけんな!
お返しにあたしも灰皿を投げ返しておいた。キャッチされたけど。

「まあとにかく、あたしの世界が踏みにじられない限りあたしは面倒事嫌いなんで。当分は大人しくしてますよ」

にんまり、いたずらっ子のような笑みを浮かべて続ける。

「当分は、ね」


また灰皿投げつけられた。



 (ヘタしたら殺人事件になんぞこれ)(ンな簡単に死なねーだろてめえは)

 
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