嘘吐きの朝


朝である。

真選組の屯所に住まわせてもらい始めてから2ヶ月。大分経った。
銀魂キャラ達との関係は、良好だと思う。

布団をたたみ、顔を洗いに行く。
再び部屋に戻り、鏡を見ながら簡単に化粧。
寝間着から着替えて、髪をいつも通りに結んで、準備は完了。
隣の部屋で準備をしているだろう千果があたしを呼びに来るのを待ちながら、煙草に火を付けた。

「史紀ーおはー」
「おはよ、千果」

2本目の煙草に火を付けた辺りでやってきた千果。
時計を見てみれば、いつもよりは少し早いくらいか。

「あたしこれ吸い終わってから行くから、先行ってていいよ」
「うーい」
「あと近藤さんにこれ渡しといてー」

あたしの言葉を聞いて部屋の障子を閉めようとした千果に、A4サイズの封筒に入った書類を渡す。
千果は寝起きらしい少し低い声で封筒を手にすると、ちらり…というよりはぎろり、といった感じでこっちを睨んできた。

「まさか近藤さんにラブレター渡すつもりじゃないよね…」
「ちげーよ沖田の始末書だバカ」

何で沖田の始末書を史紀が持ってるのかなーなんて分かり切ったことを口元だけで笑いながら呟き、千果は片手を軽く振って部屋を出て行った。

少し経って2本目の煙草も吸い終えたあたしも、よっこらせと立ち上がって部屋を出る。
と、ちょうど通りかかったらしい山崎と出くわした。

「史紀さん、おはようございます。」
「おはよー山崎。今日もかっこいいね」
「はは…あ、髪の毛跳ねてますよ」

頭を撫でるように跳ねていた髪の毛を直してくれた山崎に、ありがとうと少し照れながらお礼を言う。
朝からラッキーだな。

「今日早いんだね、今から仕事?それとも帰ってきたとこ?」
「今からです。ちょっと密偵に」
「そっか…大変だね、気をつけて」
「ありがとうございます」

ふわり、微笑む山崎はやっぱりかっこいい。かっこいいっていうか可愛い。食べたい。
あーあ本命じゃなかったら今すぐ手ぇ出すのになー、本命にあんだけまっすぐ突っ込んでいける千果まじ尊敬するわ。
そんなことを考えながら、山崎と2人屯所内の廊下を進んでいく。

「史紀さんはこれから…?」
「うん、万事屋にご飯作りに行ってー…その後は未定かな」
「…そうですか、史紀さんも気をつけてくださいね」

本当、山崎は優しいなあ。
こんなあたしにまで気を遣ってくれるんだから。

玄関まで辿り着いたあたし達。
ブーツを掃き終え、くるりと山崎の方を振り返り、満面の笑みを浮かべた。

「ありがと、山崎大好き!」
「あはは…」

そうやって照れてんだか困ってんだか、わかんないような顔もね。



 (史紀さんの嘘つき)(山崎は嘘が下手だなあ)

 
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