石田三成とかいう精神がぶっ飛んだ人に監禁され、早一週間が経った。
時折食事に白濁の液がかかっていることを除けば、日がな一日ぼーっと過ごし衣食住全て提供されるのでまあまあ良い生活である。このままいけばわたしは廃人になりかねんだろうくらいには。
ここから解放された後、わたしがまともに一人暮らしを出来る気がしない。人間は不便から便利に慣れるのは早いけれど、便利から不便に慣れることは難しい。

石田さんは一応、大学にも行っているようだった。大学へ行く日はそれはそれは名残惜しそうにわたしに触れてから出て行く。もちろん、部屋の鍵と枷の鍵はしっかりとかける。
わたしは何も無い部屋で一日を過ごさなければいけない。とは言え、頼めば石田さんは本や漫画を用意してくれるので、そこまで困りはしていない。ゲームはさすがにわたしの良心が頼むのを止めた。けれど頼んだら買ってきてくれるんだろうなとは思う。

この一週間でわかったことだけれど、石田さんは概ねわたしに甘い。
そりゃつい監禁してしまうくらい盲目的に愛しんでいる女の言うことなのだから、叶えようとするのは道理なのだろう。選択肢を間違えなければ、ただひたすらに甘い男と同棲しているだけにも見える現状だ。その場合わたしのポジションは完全にヒモである。
ただ、選択肢を間違えると悲惨なことになるのも知った。石田さんはとても情緒が不安定なので。
でも結構自分に都合の良いように世界を見ている節もあるからか、まだそこまで酷いことにはなっていない。こう考えてみると随分面白い人だと思う。何をどうしてあんな風に育ったのやら。


外の世界を恋しむ気持ちが無いでもない。もう何日も空を見ていないし、石田さん以外の人と会ってもない。自分の部屋がどうなっているのかも気にかかる。
だけどどうにも出来ないし、きっとわたしはどうともしないのだろう。
石田さんはおかしい。多分、わたしが真っ直ぐに彼を拒絶してここから逃げだそうとすれば、わたしを殺してしまうくらいに。

「死ぬのはやだなあ」

口の中で小さく呟く。ちょうどわたしに食事を持ってきてくれた石田さんが、どうした?とわたしの表情を窺う。

「何でもないです」
「……そうか」

石田さんはわたしの頬に唇を寄せ、夕食の載ったトレーをサイドテーブルに置いた。
ああ、今日も晩ご飯は食べられないのか。わたしは鼻をつく青臭さに、顔を歪める。

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